「いや、それは・・・」と話し出す心理

相手から話を振られて、肯定的な返答をするときも否定的な返答をするときも、「いや、それは・・・」と話し出す人がいる。
否定的な返答のときはいざしらず、肯定的な返答の時まで、一度は「いや」と否定せざるを得ない気持ちって一体なんなのだろう?

こういう返答をする人は、成長過程で自分の意見を「そうだね」と受け取られた経験に乏しい。

受け取られるというしごく当たり前の、この、経験が抜けることにより、自分が自分でよいという安定感を形成することができない。

仮に話の内容が自分にとって充分にYESであったとしても、自分は自分でよいという安定感に欠けるため、他者の意見を鵜呑みにした自分は、なにかに負けたかように感じる。
”いやいや、そんな負けなんぞ到底許容出来ない”という強い反発心が、自分の領域を際立たせる「いや」として現れている。

つまり、自分と他者の間に明確な線引きのできない人が、言葉の上で無理矢理線引きをしている様子が、「いや、それは・・・」なのだ。

他者と同じ意見を持つことは自分が負けることではないし、正直にYESと言った方が、文脈的にも伝わりやすい。
最初に「いや」と切り出すと、続く文脈は反対のことを言うのだろうと聞き手に期待させてしまうのに、結局同調意見を述べるのだから、いい印象を持たれないだろう。

もし、「いや、それは」が口癖のようになっている人がいたら、心の中を見直して欲しい。
相手の意見に即同意した自分が、悔しいという思いに囚われるかどうか。
悔しいと思うなら、それは素直じゃないということ。
それだけ、自分が弱いということ、だ。

無理に口くせを直そうとするのではなく、なぜそのように口走ってしまうのか?を考えることで、もっと素直でかわいい人になれる。
自分をしっかりと持った素直でかわいい人に、人は信頼を寄せてくるのだから。