カウンセリングで死守すべきこと

カウンセリングは日常と違って、比較的受け入れられる範囲が広い。

日常で愚痴をいったら相手は逃げていくが、カウンセリングでは愚痴の出る源を知るために耳を傾ける。

しかしそれには限界があって、愚痴につきあってばかりだと、カウンセラーが参ってしまう。参ってしまっては治療ができない。ということは患者のためにならない。

だから線を引く。これ以上は聞きませんよ、と。

カウンセリング成功のために守るべきこと

その線引きはカウンセラー自らで定める。線を超えたら、一歩も譲らない。
そうしなければ、相手の底なしの要望に付き合うことになる。即ち、相手の要望消化マシーンと化し、相手に取り込まれてしまう。

こうなると治療をできなくなるばかりか、患者の症状をも悪化させる。
なんでも聞いてくれるカウンセラーの存在によって、患者は完全にYESでいてくれる人の快感に囚われてしまうから。

現実的には3歳までの母子の以外、この関係は成立しない。ありもしない関係をカウンセリングの場に持ち込んでしまっては、患者が一般社会に帰ったとき、その関係を築けないことにひどく落胆する。そうなると、また「社会が悪い」「世間が悪い」「どうぜ自分なんて…」という気持ちが襲ってきて、人間不信に陥る。

カウンセリングルームはミニ社会だ。
ルールや限度がある。見えないルールや限度を丁寧に「見える化」して、なぜ守らねばならないかを患者と一緒に考え、運用し、患者が無事社会に戻れることとを支援するのが目的。

甘やかすこと、快感の与えることは本丸ではない。

カウンセリングを受けるほど傷ついているということは、ルールや限度を適切に把握できておらず、極端に迎合するか 強引に出るか しか選択肢を持っていないことを指す。

自分と相手に横たわる限度やルールといった隔たりをきちんと掴むこと、即ち「孤独」を受け入れ、自分で自分を守れるようになることこそ、全ての患者が手にすべき克服の道だと思っている。

そのために、カウンセラー自身が手本となって、患者の要望には応えられないという「孤独」をきちんと出して行く。快感を与えるのではなく、一人一人に今とは違った厳しさを伝えていく。

それが回り回って、全ての人にとっての幸せに繋がると信じているから。