私の言葉は無視される

私の放つ言葉には、何の力もない。それがずっと悩みだった。
友人は、優しい言葉を紡げるのに、意味のある言葉を言えるのに、私は言えない。
ここ一番で相手を救いたいと思っても、言葉が出てこない。
どうして、どうして私には言葉に力を託すことが出来ないんだ・・・。

存在感がある人が皆口達者なわけじゃない。

多くの言葉を発すれば、意味があるわけじゃない。
なにか私が気付いてないことがあって、そのせいで、言葉も気持ちも空回りしている。

林宏司さんという脚本家がいらっしゃる。
その方の手がけたドラマ「コードブルー」「BOSS」は私の好きなドラマだ。
どこが好きなのかな~って考えてたら、台詞だった。
特にコードブルーは、傾聴と共感を上手く表している。
フェローの紡いだ言葉、自分が言えたら本当に良いなって思う。
そこかしこに言葉の宝が埋まっている。

それがヒントになった。
口からでる言葉は、言葉を向けた相手のため、心配するだれかのために
使うのであって、己のためにばかり使うのではない。
己のために使うのであれば、口に出さなくても、心の言葉でよいじゃないか。
なのに私は自分を守るため、正当化するために、言葉を使った。
また時に相手を攻撃したこともあった。
その言葉、自分以外の相手に意味あるのか?

コードブルーの台詞の大半は、誰かのことを思って出した言葉。
フェローを見守る先生方のやさしく厳しい言葉。
フェローが患者の心の傷によりそう言葉。
ドクターへリのパイロットが、悩むフェローにそっとかける言葉。
このドラマは、フェローが一人前のドクターになる成長を描いたストーリである。
ドクターは技術を磨くだけはなく、患者に接する精神、悲惨な現場で諦めない精神
、そして時には諦める勇気といった心を磨く必要がある。
特に心は、体験して、誰かに何かを言われて、それではっと気がついて
価値観に変化が現れ、成長する。
その変化を見事に表現している。

自分だけ見ていても、何も成長しない。
人を思い、人を助けたい、楽にさせたいと願い、自分の体験したこと、感じたことを
使って、言葉を紡げば、きっと力のある言葉を言える人になるだろう。

林さん、これからもいい脚本待っていますね。
あなたの脚本なら、生き方を迷っている人に、なにか方向性を示せるかもしれない。