トロフィーワイフ・トロフィーハズバンド

ちょっと年上のイケてる男性と20代半ばのお嬢さんの結婚。
すてきなカップルとして、周りから祝福されることだろう。

ところが数年すると、亀裂が入り離婚することになる。その原因は?

イケてる男性は若い時もモテたことだろう。

ところが、自分のスタイルを築くことを優先し、女性とつきあいはするものの生活を
共にすることは避けていた。
40代にさしかかった頃、親が孫の顔を見たいと言い、同僚は子供の話をする。
もうそろそろ身を固めてもいいかな・・・と思い、結婚相手を探す。

いままでスタイルを築き、財力をつけ、カッコよく生きることに努力を惜しまなかったの
だから、誰もがうらやむ結婚相手を見つけようとする。
もちろん、子供が欲しいので、出産可能な、それでいて周囲にうらやましがられる20代
に狙いを付けアプローチ。
渋く、自分を持って、料理なんかできちゃう金持ちの男性が寄ってくれば、20代の
うら若き女性はコロッっと参ってしまう。

一方女性は
美人という自覚がある人間ほど、自分の価値が高いことを強く認識し、価値を
”お金”や”イケてるお相手とつきあうこと”と変換して、自分に釣り合いの取れた男性
を探す。
ちょっと年は上だけど、ぴったりの男性がアプローチしてくれるなら、それでヨシ!
と早々に結婚を決める。

結婚式や披露宴では、二人に対しコレデモカ!!!と言わんがばかりの賞賛が
浴びせられ、互いにこの相手でよかった~♪と思うのである。
結婚式直後は自分にピッタリの、自慢できる相手を披露できて絶頂の気持ちだろう。

ところが、結婚してみたら、毎日は見せびらかしと自慢の日々ではなく、思っていた
ほど相手が理想通りに動いてくれないことに気がつく。
会社に行く時に「ゴミを出してきて」という奥さん、「ゴミなどかっこわるくて持てない」と
いう旦那さん。
些細なことから行き違いが発生。
まっ、でも結婚直後だから互いに差はあるさ~と深く話し合うことをせず、どちらかが
折れる。

そのうち子供が生まれて、奥さんはてんてこまい。
親元を離れていれば、頼る人もおらず、孤軍奮闘。
旦那さんは仕事に忙しく、子育ての余裕がない。
そのうち子育てを背負っている奥さんの余裕が無くなって、旦那さんに愚痴をいい
始める。
旦那さんは、会社で疲労している分、家では自分スタイルでくつろぎたい。
なのに、横から奥さんにやいのやいの言われる。
奥さんから逃げるように自室へ。
二人の溝は深まるばかり。

さて、この二人、どこでボタンの掛け違いをしたのでしょう?
私は結婚の前だと思います。
二人の結婚の目的は、周囲にうらやましがられる生活を手に入れることでした。
自分の描く世界に相手を組み込もう、理想を実現するための手段として相手を
使おうとしたのでした。
自分の人生を彩るトロフィーワイフ・トロフィーハズバンドが欲しかったのです。

ところが人は一人ひとり考えや価値観を持ちますから、互いに理想を押しつけあって
は、前に進むことも助け合うこともままなりません。
結婚とは”相手の幸せとは何か”を追求することなのです。
ゴミ出しひとつとっても、旦那さんは奥さんの家事の負担を減らしたいと願い、奥さん
は旦那さんにゴミ出しをしてもらって有り難いと思うことで、双方が協調できるのです。

相手にかける思いが、自分のエゴなのか相手を思う愛なのかによって、家庭に
起きる出来事ひとつ、諍いの種にも愛情を深める種にもなるのです。
結婚前に、「自分はこの人の幸せを心から願えるだろうか?」と問うてみることです。
100%いつも願えなくてもいいけれど、30%も願えないなら、結婚は辞めた方がいい
です。

相手の幸せを願えない人は、男女のつきあいという性的充足感や、孤独を振り払う
ための相手キープで十分ではないですか?
相手を物として見ている限り、その関係性に制限がつきます。
物は役割を果たさなくなったとき、捨てられる運命にあるのです。
結婚は自分の器を試される厳しい業でもあります。

自分という人間を見つめて、果たして結婚の器に相応しいか考えてから、結婚と
いう結論を出しても遅くはないと思います。
今は子孫を残すためだけに結婚するわけではなくなりました。
急ぐことより、納得すること、覚悟すること、器を広げることの方が重要だと思います。
結婚も離婚も自由ですが、せっかく出会えた相手なのですから、離れてしまうのは
心寂しいですね。
だからこそ、【結婚は慎重に】なのです。