うつ病についてもやもや考える

人伝えにある人(A君)が会社に来られなくなったと聞いた。
転職先で上司と折り合いが付かず、精神的に疲弊しているようだ。
朝、電車に乗ろうとすると気分が悪くなり、数駅で降りてしまう。
家では、働く妻と幼い子供がふたり。今仕事を辞めるわけにはいかない。

A君はいままで、このような状態を経験したことが無く、自分の体調の悪さに戸惑うばかり。

内科⇒神経心療科にかかっているが、適切な治療を受けられていない。
別の部署の上司が話をするも、目線さえ合わせられない状態。
このまま放っておくと、会社に居られなくなるばかりか、脳がダメージを喰らいすぎてその後の人生に悪影響が出る。

私はうつ病というのは、精神が弱い人がなるものではなく、誰でもかかりうる病気だと思う。
人は生きていくためにそこそこの承認が必要であり、また特に承認を奪い取る環境に置かれたときには積極的に承認を補わないと、たちまち脳が混乱を起こしてうつ状態になる。
肉体が生きていくために食べ物というエネルギーが必要なように、心が生きていくためには承認というエネルギーが必要なのだ。

そこで承認というエネルギーを補給するために、家族であるとかセラピストという人に頼ることになる。
家族が承認上手であればそれにこしたことはないが、正直一般的な人々にそれを求めるのは少々酷である。承認はスキルトレーニングを要するから。
従って、セラピストに頼ることになる。

世間ではカウンセリングについて、未だに偏見がある。
しかしながら、実際のカウンセリングの現場では、極めて標準的な働く人々が様々な悩みを吐露し、治療を受けている。
全然異世界ではない。
カウンセリングの雰囲気は、すんごい気心しれた友達に悩み相談しているような感じ。
それも相手はプロだから、会話を遮ったりしないし、考えを整理するのを手伝ってくれる。

薬による治療だけで良くなると思われがちな精神疾患。
しかし、投薬により劇的な変化が望める病気とカウンセリングにより好転する病気がある。
後者の場合薬による効果は不安を和らげるなど限定的。
根治を求めるならば、脳が混乱しない思考パターンを脳に覚えさせることだ。

どこにいってもイヤなヤツはいて、それを全て避けながら生きるというのは、無理な話。
だから自分の脳をコントロールして、なるべく脳が混乱しない訓練を積むことだ。
うつ病になったということは、「今、過去の脳からもっと柔軟に対応できる未来の脳への切り替え時でっせ」という信号を送られたのである。

ならばその導きに従って、セラピストの力を借りながら脳のダイナミックな変化を起こしてみてはどうだろう?
今年流行った言葉、「いつやるの?」⇒「今でしょ!」のように。