思春期に恋をする意味

思春期に恋をする人もしない人もいます。
恋をしなくても、勉強に支障はありません、就職にも支障はありません。
けれど人間関係には、特に結婚生活には支障がでます。

というのも、思春期というまだ人として未熟な時期に、恋心という感情を持つことで、既存の殻を破るチャンスを手に入れるからです。


幼少期以後、人は自分の目線で世界を見ます。
自分がいいと思うもの、優越感を感じられるもの、楽しいと感じられるものに邁進します。
時には挫折もあるでしょうが、基本的に頑張っただけリターンがあるという世界にいます。

ところが、思春期に訪れる恋はこれまでのルールと全く違う。
どんなに頑張ったところで、相手に好意を持たれなければ、全てゼロ。
それもやっかいなことに、好意を持たれないからという理由だけであっさり諦められない。
今までのように分かりやすい世界と異なる複雑体系に、人は惑います。

その惑いこそが、自分の目線で世界を見るのではなく、他人の目線で自分を見るという第二の眼を獲得するチャンスなのです。
相手から自分をかっこよく思って欲しい、自分を好きになってもらいたいと思えば、必然的に相手の思う価値観にフォーカスせざるを得ません。
そうやってもがいてもがいて、胸を締め付ける苦しさから解放されたくて、をぐるぐる繰り返すうちに、自然と心が成長している。

たとえその恋がうまくいかなくても、恋は人間としての深みを与えてくれるのです。
反対に恋をしたことのない人は、他人の目で自分を見るという経験がない。

これは人として圧倒的な違いです。

結婚するということは、他人と生活を作っていくということ。
どんな人でも自分ならではの価値観をもち、その価値観の中には人に踏み込まれたくない領域や思い込みで固執している領域がある。
そういう領域に限って、人に押しつけてしまって、疎まれる。
でも、結婚生活を長く続けていくためには、その価値観を一度外から疑って、検証しなくてはならないのです。

もし、目線を外に移すことができなければ、相手に呆れられて捨てられます。

恋という精神成長ステップは、未来の生活を作るために必要な要素なんですね。