結婚相手を見極める方法の一つ

朝から発達障害の夫を持つ妻の悩みを読んでいる。

彼女らの主張はこうだ。
「全然話が通じない。穏やかだけど、頼りにならない。場合によっては家族を危険に晒す。私の心は壊れる寸前。死にたい、もしくは死んでくれ」。

この辛い状況を分かってくれる人もおらず、かといって放り投げるわけにもいかず、といった苦悩が垣間見える。

だが、彼女らは強制されて結婚したわけではない。自らの意思でそうした。なのに成人した一女性が、これほどまでに相手選びを後悔するのか不思議に思う人もいるだろう。

そこで、結婚相手を見極める方法を一つ、提案したいと思う。

あえて見方を変えてみる

恋は盲目
あばたもえくぼ

といったことわざがあるくらい、恋愛というのは都合の悪い事実を覆い隠す。恋愛中というのは、麻薬をやっているのと同じくらい脳が興奮状態にある。麻薬をやっている人がまともに判断できないように、恋愛中の人は冷静に人を判別できない。
端から見たら「とんでもねぇヤロウ」でも本人の目には「個性的でステキ」に映る。

恋愛中は、それでもいい。が、結婚となれば別だ。これから続くであろううん十年のためにも、冷静に夫として父として適切な振る舞いをできる人物か見分けなくてはならない。

では、具体的にどういう見分け方をするか。
自分を「学校の先生の立場」に置く。

受け持つクラスに何十人といる生徒の中の一人、Aくん。Aくんの通信簿に、「発達」「コミュニケーション能力」という欄があるとしたら、なんと書くだろう。
まわりの子と比べて、「発達が遅れている、言動が幼い(配慮に欠ける)、欲求に正直すぎ、人の意を汲むのが下手」だった場合、要注意だ。

これはそのまま結婚生活を示唆する。
あなたは夫になるであろうAくんに、大人としての振る舞いを期待している。ところが生徒Aくんは、周りと比べて大人の作法が身についていない。ということはあなたが教えることになる。

教える範囲が、「お皿しまってね」くらいだったならまだしも、「こういうときは、こういったこと言っちゃダメ」というような人としての基本だった場合、父として、いやいや夫としての働きはもはや絶望的。
それどころか、大きな子供一人を育てる羽目になる。当然ながら相当の苦労を強いられることになるだろう。

だとしたら、Aくんとの結婚はなし。これが未来の自分を護るための正答だ。

相手選びが健康までもを左右する

つい最近読んだ本に、夫婦仲が悪いと妻が病気になりやすいという記述を見つけた。

夫婦間の葛藤に関する研究の一環として、新婚カップルと同じように60代夫婦(婚姻継続年数は平均で42年間)からもボランティアを募り、言い争いをしているときの生理機能変化を詳しく調査する実験が行われた。
この実験でも、言い争いによって内分泌系と免疫系にマイナスの影響が認められたーーまた相手に対する悪意が強いほど、マイナスの影響が大きく現れた。
(中略)
さまざまな実験データによると、不安定な結婚生活の悪影響は夫より妻のほうに大きく現れるようだ。
(中略)
ウィンスコンシン大学がおこなった1957年卒業生の調査では、女性のコレステロール値は結婚生活におけるストレスの量と直接関係がある(しかも、男性と比べて、その傾向がはるかに強い)ことがあきらかになった。
心不全患者を対象とした調査では、結婚生活の不和が若年死につながる確率は女性のほうが男性より高かった。

引用 SQ生きかたの知能指数

ということで、選ぶ人次第で女性の健康は失われる。文中のようなことが自分の身に降りかかったとして心臓発作なんか起こしてしまった日には、目も当てられない。

そう考えると「好きだから」だけで選べないことに承知いただけるのではないだろうか。

結婚は恋愛とは違う

発達障害者をパートナーに選んだ人は、「夫はひどく魅力的な人に見えた」と言っている。確かに見た目が秀でて(アスペルガーは美形が多い)いたり、なにかに一途(過集中)だったりして、魅力的な人物と映りやすい。

だが、魅力的だからといって結婚相手にふさわしいかは別。結婚とは長い年月をともに歩む行為。いくら恋愛の延長が結婚だといっても、今この時点で年齢相応の対処能力があるかを確かめられていなければ、見極めとしては不十分。

それゆえ一度相手から離れてみて、遠くから見つめてみる。あたかも先生が生徒の通信簿をつけるように。そうやってこの生徒は「発達」として十分か、「コミュニケーション能力」は十分かを冷静に判断する。

今すぐ答えを出さなくたっていい。納得いくまで一つ一つ確認していこう。