カウンセラーの実力をカンタンに見分ける方法

今かかっているカウンセラーには自分を治せるだけの十分な実力が備わっているのか?、気になるところだ。
どれだけホームページで美辞麗句が並んでいても、会ってみると、偏屈で話を聞いてくれない人だったと落胆することはある。

そんな時、見切りをつけてさっさと次にいけるならいい。けど、私が診ているクライアントさんの中でもかなりの人が、違和感を持ちながらもそのカウンセリングを続けていた。

いいことなのだろうか?やはり違和感は違和感として確実に存在する。それは無視しちゃいけない。そこで判断の指標を決めて、続けるか辞めるか一度考えてみよう。

カウンセラー経験のある人間(→私)が示す指標なら、少しは役に立つ気がする。目を通してみて、考える材料に使ってみて欲しい。

カウンセラーを見分ける指標

カウンセリングの質を左右するのは、【カウンセラーの聴く力】だ。
マサチューセッツ工科大学のC.オットー・シャーマー先生の唱えた理論によると、話の聴き方の深さには4つのレベルがある。

レベル1:自分の枠内の視点で考える
新しい情報を過去の思い込みの中に流し込む。

レベル2:視点が自分と周辺の境界にある
事実を客観的に認識できる。

レベル3:自分の外に視点がある
顧客の感情を、顧客が日常使っている言葉で表現できるほど一体化する。

レベル4:自由な視点
何か多きなものとつながった感覚を得る。

引用:武器になる哲学 人生を生き抜くための哲学・思想のキーコンセプト50

レベル1はカウンセラーの思いこみに基づいた聴き方。独自の物差しでバッサバッサ斬り落とす。
レベル2は従前の堅苦しい判断に基づいた聴き方。新しい問い・複雑な問いに対して無力。合理的で冷たい。
レベル3は、クライアントを尊重する聴き方。クライアントの解決能力を開花させるべく、質問を繰り出しながら、心の底に刺さったイカリを引き上げる。
レベル4は大きな枠組みで、世界を捉えようとする聴き方。哲学的思考。すべてのものが境界を失い、智恵に収束する。

この中でカウンセラーとして最低限求められるのはレベル3以上。エゴや思い込み、前例や社会常識を脱ぎ捨て、目の前のクライアントに集中する。その場でしか醸成されない深い思考の淵に立ち、協力しながら、最適な解を探し続ける。

あなたのカウンセラーはどのレベル?

では、あなたのカウンセラーはどのレベルにあるのか?受けてるカウンセリングの進め方を思い出しながら見てみよう。

■押しつけがましく「こうしなさい!」「こうすべき!」と言ってくる?
もしこのような「圧」を感じているなら、それはカウンセリングではなく、矯正。カウンセラーが思う正解に向けて、クライアントの人間性をゆがませようとしている。もちろん賢いクライアントはその圧に不快感を感じ、表層上は「なるほど~」と口にしながら、心の中で「ないな」とはねのけていることだろう。

こんなんにお金を払う必要は、ナイ。カウンセリングは日常とは異なる質の会話が提供される場。押しつけがましい上司と話すのと変わらない雰囲気であれば、単なる会話の延長。レベル1ないしは2である。


■「どうですか?」と「それは大変だったですね」の応酬?
これは一見すると、クライアントと立ててる感じがするから、カウンセリングだと思いがち。しかし、投げかけている質問は適切だろうか。少なくともクライアントが話したそうな話題だろうか。

この【話したそうか】どうかが肝。

カウンセラーが習慣で「どうですか?」とたずねているとすれば、それは過去の例に基づいたやり方だ。クライアントの【話したい】そっちのけで、いつも通りのやり方を踏襲し、クライアントに「なんか話さなきゃ」というプレッシャーを与えている。それはもはや傾聴ではなく、責任の丸投げ。クライアントを立てて、思うところを思うまま語ってもらうのだけが傾聴ではない。話しやすい雰囲気づくりや、前に話したことの振り返りなど、「ちゃんとあなたを見てますよ」という安心の場の醸成も仕事の内。

そういう手間を惜しんで、従前の傾聴型に当てはめようとしているなら、それはレベル2。


■厳しいこともいうけど、何かが拓けた気がする?
厳しいながらも、鋭い問いを投げかけてくれるカウンセラー。必死に喰らいついていくと深い理解に到達できる。終り頃にはヘトヘトだけど、カウンセリングが始まる前より強くなった気がする。これこそがカウンセリングによる変化。

受ける前と後でわずかでも変化が訪れたと感じられるなら、レベル3。日常とは異なる質の場が担保されている。


■カウンセラーの佇まいが私の頑なな心を溶かしていき、たったひと言で何かを悟れる
見るからに柔和な佇まい、すべてを包み込むような優しい声。言葉数は少なく、でも居心地がいい。一通り話を聞いた後、一つだけ伝えてくる。それがクライアントに今必要な世界に対する解釈。いわれてすぐは、何のこと?と思うものの、心地よい響きによってもたらされた教えは何度も頭を駆け巡り、時間を置いて悟りへと歩みを進める。

こんな人に会えることは滅多にないと思うが、会えたならとてもラッキー。掛けられた言葉をじっくりとかみ砕いて、身体にしみ込ませていくといい。

効果の出るカウンセラーを選ぼう

さて、あなたのカウンセラーはレベル1~4のどれに当てはまるだろうか。1ないしは2なら、継続は要検討だ。長期間受けたとしても、さほど効果は期待できない。

2~3くらいかな?と思うなら、自分から積極的に思考に没頭していくと、カウンセラーから質のよい質問を投げかけられ、思考が深まる可能性がある。

3なら、効果が出る可能性は極めて高い。自分の至らなさをしっかりと掴めた上で、どのように進んでいけばよいか、答えを生み出せる。3の優れているところは、無理に規制の枠にはめ込むのではなく、即興的にその人に合った答えを導き出せること。答えへの到達はスムースではないけど、クライアントの心を一つ一つ丁寧に洗っていくおかげで、自分にピッタリくる考えを導きだせる。

値段は、必ずしもレベルに比例するわけではない。良心的なところであれば、何万円も取ることはないだろう。時間は、50分は必要。あまりに短いと、話すだけで終わってしまって、思考する時間が持てない。

ご紹介した情報を基に、一人一人が納得して受けられるカウンセリングに一日でも早くたどり着いてほしい。