なんと言葉をかけていいか分からないときの言葉の作り方

人生はときに厳しく、残酷な結果を突きつけられる瞬間がある。

そんなとき、周りはどういう態度をとったらいいのか迷う。そっとしておいた方がいいのか、いや、放置しておくとますます落ち込みが酷くなってしまうから何か言った方がいいのか。もし後者を選ぶとして、なんと声かけしたらいいのか。

問題がナイーブであればあるほど、ますますどうしていいか分からなくなる。
もちろん、どれが正解とは一概にいいがたいが、無策のまま出たとこ勝負するより少しでも準備している方がいい。

相手を傷つけないためにも、先手を打って考えてみてはいかがだろうか?

一番傷つけるケース

そっとしておくか、声をかけるか。この場合、一番傷つけるのは、声のかけ方を誤るときだと思う。
相手を責めたり、気持ちが切り替わっていないのに勝手に次のことを考えろと急かしたり、いつまでも泣くなと感情にフタをさせたりするのは最悪だ。

人にはまず心があって、その先に言葉や行動が続く。心を落ち着かせることがなによりも優先なのに、勝手に心を決めつけたり、心に手を出したりするのは、明らかな越権行為、人権無視である。

それを分かっていない輩は、「よかれと思って」という大義を片手に、堂々と越権し人権を踏みつぶす。そんなことをするくらいなら、そっとしておいてやれ。

そっとしておくリスク

でも、そっとしておくということは、当人を独りぽっちに追い込む危険を孕む。通常の精神なら独りぽっちがへっちゃらかもしれないが、こと辛い瞬間は堪える。窮地に追い込まれたときほど”誰かに分かって欲しい”、と思うのは、強い人間も弱い人間もみな、同じ。

独りでいると、どんどん悪い方向に考えてしまって、とくに真面目な人ほど自分を責める傾向が強まっていって、うつ状態を呈する。こうなると、なかなか元のところまで戻るのに苦労する。

そっとしておくは優しさなんだけど、その優しさが優しさとして伝わっていない場合、見捨てられたという絶望を持たせてしまう。もし、意図的にそっとしておくのなら、ひと言「辛いときはいつでも言ってね。話くらい付き合うよ。」と声をかけておくのがいい。

言葉の作り方

でもなんといっても一番は、ふさわしい言葉をかけることである。言葉をかけることで、独りじゃないよ、というメッセージと、あなたはあなたで価値がある、というメッセージを送れる。

そこで言葉の作り方を考えてみる。

  1. 自分の価値感を捨てて当人になって残酷な結果に至るまでの景色を見渡し、そのときの心情を綴る
  2. 羅列された心情をみて感じとれるものを探す
  3. .感じ取れたものの中からフィットする言葉を作る

たとえばの例として流産を取り上げる。

1.当人になって残酷な結果に至るまでの景色を見渡し、心情を綴る
 -赤ちゃんにあんなに会いたくて会いたくて仕方なかったのに…
 -お腹に来てくれたとき嬉しくて仕方なかった
 -流産しないように、念には念を入れてきたのに
 -あの時の無理がたたったんだ
 -私だけお母さんになれない

こんなところだろうか。
次に

2.羅列された心情をみて感じとれるものを探す
 -本当に赤ちゃんに会いたかったんだな~
 -ちゃんと産めるようにめちゃくちゃ気を使ってたんだなぁ~
 -ほんの小さな出来事でも今となっては後悔しちゃうよな~

この3つが感じ取れた、とする。
では最後に

3.フィットする言葉を作る
本当に赤ちゃんに会いたがってたもんね。めちゃくちゃ身体のことを気を使ってるって、見ててよく分かったよ。あなたはよく頑張った。自分を責めることなんてない。

どうだろう?仮に自分に言われたとして、”あぁ、分かってくれてる人がいる”という安堵に包まれはしないだろうか。

言葉をかける最大のメリット

残酷な結果に対して第三者ができることは、当人の落ち込んだ気持ちを少しでもラクにしてあげることである。残酷な結果は、受け入れるだけで多大な労力と覚悟がいる。もしそれを独りでやらなければならないとしたら、どれだけ心細く寂しいことだろう。

だからこそ、心細さを心中太さくらいに、寂しいをやや寂しいくらいにしてやる。そのために、当人の側からみた世界を理解し、寄り添う。「分かってあげる」という行為を通して、独りを1.5人に拡張してあげる。

当人に「もう一度前を向こう」という気持ちの切り替えが起こるとき、そこには支えてくれる人の存在がある。自分のためだけではなく、支えてくれるその人のために、もう一度立ち上がり前を向こうと思えたそのとき、挫折する前の自分より強い自分が誕生する。

もしあなたが相手に再起して欲しい、強くなって欲しいと心から願うなら、多少手間でも例に習って言葉を作り、相手の世界を「分かってあげて」欲しい。「分かってあげる」ことこそ、なによりも相手に届く薬なのだから。