ハンドメイドの大幅値切りで傷つかないためにできること

ハンドメイドの活況に水を差すニュースが飛び込んできました。
news.livedoor.com

「素人作品ですよね」。
なかなかキビシイお言葉です。

ハンドメイド作品を愛する私としても、丹精込めて作った作品が、このようにこき下ろされるのを見過ごしたくはありません。微力ながらも、力添えしたいと思います。

値切ってくる人の意図

相手がなぜ値切ってくるのか?を考えたことはありますか。

安く手に入れたいから、たくさん買いたいから、イメージと違ってもあきらめがつくから(返品不可の場合)
などが思いつくでしょう。

もちろん、それもあるのですが、もっと根本的な理由。値切り人を突き動かす内的動機とは何か。

価格交渉をして勝ちたい。

自分の想定のハンドメイド価格があって、その価格に作家を従わせたいのです。

勝ち負けにこだわる人に出来る防御策

でももし作家が、内的動機を見逃し、安く手に入れたいから、という理由で値下げを要求しているという理解をした場合、とる手段は一つ。安くは出来ない背景を説明して理解を求める

でも相手は、作家を従わせたい

これでは話が噛み合ってません。もし相手の目的に照準を合わせるのならば、作家を従わせたい、を飲むか飲まないか、を述べましょう。

そしてほとんどの作家は「飲まない」を選択することでしょう。つまり、この交渉ははなから不成立です。

それでもなぜ傷つくのか

作家も頭では、「そんなの無理なお願いだ」と分かっています。一方で、自分の作品に正当な評価が下されなかったことに、深く傷ついている。
でも傷つく必要がどこにあるのでしょう?

そもそも相手のお願いは、極端すぎます。その極端さに振り回されてしまうことに、問題はないのでしょうか。

作家が極端なお願いを突っぱねられない背景には、「悪く思われたくない」といった、みんなで仲良く信仰が大きく関係します。
みんなが同じ価値観を共有し、衝突することのない平和な世界がベスト。このムラ社会的発想が、とうてい受け入れがたい提案を前に、信仰心を揺らがせ、アイデンティティーをひどく傷つけている。

すなわち作家の「私の価値感は万人に通ずる」という思い込みこそが、自身を傷つけているのです。

個々の問題にすればいい

ということは、万人に通じるという思い込みを捨ててしまえば、傷つくことから遠ざかれる。

「相手はこれを○○円と判断する。私はこれを△△円と判断する。いくらと思おうが個人の自由だが、それを私が受け入れる必要はない。」

このように、相手と自分を別のものと分離すれば、値下げ交渉に対して「なんか言ってきてる人がいる」くらいの意識にとどめられます。

では、実際どういった対処をするとよいのでしょう。

礼を尽くせば逆恨みの可能性もなし

「相手が作品に興味を持ってくれたことは、うれしい。けど価格には応じられない。」を主旨とするお返事をするならば

○○にご興味をもっていただきありがとうございます。
△△さんの値段のご呈示に関して、そのような意見があることは理解しました。

それでは、そのお値段で売ってくれる作家さんを当たられていかがでしょうか。その方が話が早いと思います。
私はこちらの提示価格で購入してくださるお客様に専念しますね。

納得いく価格で素敵な作品に出逢われることを祈っています。

礼を尽くしながらも、相手の従わせたい意図にNOを突きつけ、さらに別の方向へ視線を向けさせているので、反感を買うことを回避している。さらに提示価格で購入するお客さんしか相手にしない、と明示することで、再価格交渉の可能性をきっぱりと否定している。

これならば、一度の対応で済ませることができます。

「私は、私。あなたは、あなた。」という考えを持つと、他人に入り込む隙を与えません。他人と自分の間に厳格な線引きをする意識が、なによりも身を守ることになるのです。

これからハンドメイドは個人事業として、さらなる発展をしていくでしょう。あまり社会に出たことのない人にとって、折衝とはかなり心をすり減らす作業であることは、想像にかたくありません。だからこそ、折衝の根源となる、「私は、私。あなたは、あなた。」という精神を持ち続けていただきたいと、心から願います。

お困りならば、交渉のご相談にのります。右上バナー「心の流れカウンセリングサイト」よりどうぞ。