子供を嫌われる子にしてしまう親、好かれる子にする親

「なぜ、自分は嫌われてしまうのか?」、若い頃悩んだことがありました。さすがにこの年になると、嫌いたきゃしょうがないで諦められますが、やはり嫌われるって、気持ちのいいことじゃないですよね。

気持ちのいいことじゃないってことは、どこか問題点があるハズ。自分の行動を振り返って、嫌われてしまう原因を探してみたいと思います。

嫌われる会話とそうでない会話の違い

ヒントになったのは、この記事でした。
news.livedoor.com

イラっとする会話はこんな運びになるそうです。

【パターンA】

課長:「依頼した書類は作成できていますか?」

部下:「机の上に置いてあります」

対して、そうは思わない会話は

【パターンB】

課長:「依頼した書類はできていますか?」

部下:「はい、できています。ご不在だったので、机の上に置かせていただきました」

違いが分かりますか?

パターンAは答えることに対して、パターンBは返すことを重視しています。

答えるというのは、「自分が」答える。質問が飛んできたので、その刺激につられて、「自分が」動いた自分オンリーの世界

対して返すというのは、「自分が」はモチロン、「相手に」返す。自分と相手の共同作業としての、受け答えです。「自分」と「相手」が主人公

この「誰が登場人物か」というのが、非常に重要で、嫌われてる人って、たいがい自分オンリーの世界に住んでいる。だから相手を無視して機嫌を損ねてしまって、結果嫌われる。

住んでる世界に、自分以外の人がいません。

家庭の中の会話

この世界観は、主に家庭の中で作られたものと、推測されます。

お母さんが「ご飯できたわよー」と声を掛ける。お父さん、黙って食べる。という風景を見た子供たちは、お父さんのお母さんに対する態度を見て、「ご飯が出来たという意味さえ理解して動けばいい」と学びます。

そうなると、子供も交えた会話がこうなります。

お母さん「ご飯できたわよー」子供「はーい。なんだ、野菜炒めか…」、お父さん無言。子供もお父さんもお母さんがどんな思いでご飯を作ってくれたのか、気にもしません。「ご飯ができたわよー」という刺激につられて、「自分」がどうするかばかり気にかける。

母親の気持ちを想像するという大事な機会を逃しています。だから大人になって、他人への感謝や思いやりが欠かせない場に置かれると、どうしていいか迷うんです。

そして最終的に口をそろえて、こうおっしゃる。「他人に興味がもてない」

無理に興味など持たなくていい

これって、興味をもてる・もてないの問題なのでしょうか。興味は芽生えるものであって、恋心と同じく、無理にもつのは難しい。こうあらねばならない、に縛られて、出来ない自分を責めたって、なんにもなりません。

興味がないなら、ないでいいです。ただ相手は感情のある人間だと理解さえできれば。自分の中の「分かって欲しい」があるように、相手の中にも「分かって欲しい」があります。その「分かって欲しいもの」ってナンダロ?と思うことが、相手の理解につながります。

相手の一貫性がなかったり、損ばかりしているような不可解な行動の中にも、筋は必ず通っています。その筋さえ捕まえられれば、相手の「分かって欲しいもの」が見つかります。あとはそれをどう料理するか、ご自分で決めたらよろし。

家族団らんは玉石混合

などと考えてみると、家族団らんは心の教育にいいとかいうけれど、結構重なり合ってない会話って多いのかもな、と思います。学校で会ったことを話そうとする子供に意見する親の多いこと、多いこと。

子供は意見を求めてるんじゃありません。学校であったことを言いたかった、そのときの自分の気持ちを知って欲しかったんです。けれども、それを無視して、どう思うかの正論を述べて、伸びやかな子供の気持ちを上から押し潰してしまう親。

だから社会に出て挫折する子が後を絶たないのです。家庭で身につけたスタイルを貫いて、好かれない・受け入れられない孤独感と、身の置き所に迷って、早々にフェードアウトをせざるをえない。誰だって、受け入れて欲しいんです。好かれたいんです。けれども、どうしていいか分からないんですね。まさに五里霧中。

私に関しては、嫌われてしまう原因が、性格にあったのではなくて、家族の会話にあったのだと思います。嫌われるのは、私が生まれる前から決まっていて、なるべくしてなった結果です。

会話とは本来どういうものであったか、に手を伸ばしてみると、つくづく「うちの家には、『分かってあげる』という機会が無かったな」と認識させられます。

言葉は交わしても、心は交わしていない。これでも一家団らんというのですから、家族のイメージ像とは、なにやら玉石混合なものですね。

子供を生かすも家族、殺すも家族。同じ食卓に着くだけでは解決しないのですよ。