どっちのおばあちゃんが好き?

幼稚園の頃だったか、別々の機会に母方と父方の祖母に「どっちのおばあちゃんが
好き?」と質問されたことがあった。

そのとき、目の前にいるおばあちゃんのことが好きと言わないと悪いかなと

思って、相手が意図したとおりに答えた。
でもよく考えたら、たった4,5歳の子にずいぶんと酷な質問をしたものだと思う。
子供心には、どっちのおばあちゃんも好きであり、順位付けなど到底考えられない。
なのに、孫に無理矢理考えさせている。年老いたババが自分の心を満足させる
ためだけに。

私の心にはそのときの言葉が深く刻み込まれた。
祖母は、きっと孫をかわいがっていたのではないだろうな。孫を持つ自分を
誇らしく思っていただけなのだ。そして孫に愛されている自分を信じたかった。
そういったエゴの塊のような人間達だった。
だから、墓参りとかいっても、さっぱり感情は動かない。
最近は墓参りすら行かなくなった。

人間はどんなに幼くても、言葉の裏にある人間の愚かさを見抜くことができる。
だから大人は子供の手本となるよう堂々と自分らしく生きねばならない。
少なくとも自己を満足させるために他者を使うなど、どんな間柄にも許されない
罪なのだと、認識する必要がある。