口数が多くても否定形ばかり使う人は印象が薄い

たくさんしゃべるけど、その人の主張が印象に残らないってことないだろうか?

恋人と上手くいっていないくて

仕事が単調でつまらなくて
ピーマンが嫌いで
最近いいことがない

と主張している人がいたら、どんな印象を持つ?
「なんにもないんだな~」以外持てない。

一方
家庭菜園で取れたトマトがおいしかった
新しい趣味を始めた
家族のことが大好き

と主張している人がいたら、「家庭菜園の人」「趣味にはまっている人」「家族大好き」
など一つくらいは、印象に残るだろう。

~ではないという情報は~だという情報に比べて、頭の中で整理がしにくい。
一つのことを覚えるのに NOT+情報 という2つのことを覚えねばならず
情報の処理量が倍に増える。
さらに否定情報を言う人は、否定概念を持っており、主張が多岐にわたって否定形で
表せられるため、情報過多になってしまう。
これでは聞き手は印象に残るどころか混乱に陥る。

人は処理できる情報に限りがある。
マジックナンバー7という言葉通り、一度に処理できる情報は7個まで。
情報は、主語、時間、対象A、動詞、いつ聞いたのか、など様々な要素を含むので
①Aさんが②先週、③旦那さんと④夕食のことで⑤けんかして、⑥「オマエの
食事はまずい」と言われた。⑦頑張って食事を作っているのにどうして?
→これで7個使い切った。
⑧昨日はこんな献立をたてて、⑨味はこうだったetc・・・  聞いている方はOverflow。

それも日本語は主語、目的語、などがつらつら並んだ後に、動詞だから、
最後まで肯定なのか否定なのか分からない。
大体、人は肯定のつもりで情報を処理しているので、最後にNOTが付けられると
肯定という想定がひっくり返ってしまい、驚いた拍子に重要な最初の方の情報が
すっぽり抜けてしまう。

つまり日本語という構造もまた、否定形を記憶しにくい要因なのだ。

もちろんマジックナンバー7は肯定にも当てはまるから、情報が増えれば増えるほど
明確に覚えていることは難しくなるが、否定が発生しない分、驚きがないので
増えた情報は最初の主文に肉付けすると言う形で頭の中に整理され、忘れにくい。

人は人に自分のことを認めてもらいたくて、知ってもらいたくて話をする。
ただし先に述べたように、否定形をどれだけ連ねても、相手の頭にはなにも
残せない。
これだけ話したのだから、なんかいいコメントをもらえるだろうと思っても、特に
感想はありませんみたい返されるときは、相手の頭になにも印象づけられなかった
と思って間違いない。
だから、自分のことを話すときは、肯定形を使う方が断然有利だ。

心理的余裕がないと人は逃げ腰になって、否定形を多用する。
多用すればするほど、相手に自分の意図は伝わらず、余計逃げ腰になる。
心理的に余裕がないときに肯定形を使うのは、実は心理的ハードルが高い。
それでも事態を打開するためには、なんらかの力が加わらねばならぬ。
そのためにも意識して、肯定表現を心がける必要がある。

不思議なもので肯定を使い始めた当初は、なんだかなぁとしっくりこなくても
そのうち事態が好転しだすものだから、おもしろくなって肯定を使うように
なる。
肯定は話す方にも聞く方にもいい影響を及ぼす。
否定ばかり口にしないで、たまには肯定&感謝を口に出してみては如何だろうか?