シゾイドの心の内

シゾイドパーソナリティのSさんに、「しょぼい君と頼れる君」のエピソードをきっかけになぜ、しょぼい君の動きをするのか訊ねてみた。

すると
「相手がどう感じているのかを知る必要はない。感情はその人に帰着するので
あって、他者は無関係だ。」と言った。
言い換えると、相手の感情は、相手の持ち物だから、他人はノータッチということ。
だから、犬に噛まれそうなのに助けてくれないという不満と寂しさを感じているのは
私の問題で、Sさんはその感情に立ち入らないのがルールらしい。

ふぅーむ。冷たいですなぁ。

さらに話を進めていくと、「自分は、自己の周りに徹底した殻をまとい、感情はその中

にだけあって、外には出ない」という。
なのに、怒りという感情だけは外に出してもよいというルールなんだって。
心から外へ怒りだけが通り抜けられる穴があって、それ以外はブロックされている
らしい。(幼少の頃、母親にさんざん感情を無視され、感情を出すことに無力さを感じ
ながらも、怒りの感情だけは相手にぶつける目的で外に出していたようだ。それが
習慣化したものとみられる)

そして、「自覚するアイデンティティは、殻をまとった自分だから、殻を取り去ると
自分がどうなるのか皆目見当が付かない」とも言っていた。
殻をまとっていると自負し、その自負こそが、自分像なのだと思っているんだって。

それに対し、KOMAは
「家族というのは、感情を出し合っていい間柄。他の人間関係とは違う。
結婚するのは、哀しみは半分、喜びは2倍にするためと言われている。
Sさんは母親に対し感情を出すことで自らが傷つく経験を通して、感情を出さない
防御手法を身につけたかもしれないが、それは過去にだけ適用される。
今はKOMAがSさんの心を受け取っているし、守っているのだから、安心して感情を
出していい。感情を共有することで、一緒に生きていく意味がある。」と言った。

感情を出すことで、感情があふれる瞬間を体験することができる。
人を守りたい、救いたいと思うのは、なにも理性だけではない。
人として持つやさしさみたいなものから、思いがあふれ出ることもある。
感情をブロックしている人は、感情があふれ出る経験などしたことがないので、
「守る」という行動ができない。
そういう心の仕組みを一つ一つ解明していって、人は自分の本当の問題に
到達できる。

さて、感情のブロックが原因と分かっても、心で納得できないとSさんが言う。
そこで、KOMAがやっている自分が変わる方法を伝授した。

他者から、耳の痛いことを言われる。
例えば、「依存傾向がありますね」と言われて、気分のいい人はいないだろう。
いい気分がしない自分を脇に置いて、依存傾向があるという言葉をそのまま
飲み込む。そして、自分の自覚範囲に、依存傾向があるかチェックする。
チェックして、一部でもその傾向があれば、改めようと決意する。
なければ、単なる言いがかりとして、吐き出す。
飲み込む瞬間は非常に苦しいので、歯を食いしばって、心をぐわぁっと開ける
感じ。相当力がいる。
でも、やる。

こういう繰り返しを経て、自己の一部を切り落とし、新たなパーツを接着して、
少しずつ自分を変えていくのです。
カケラの変換でも、くりかえせば、そこそこの量になる。
そこそこの量になれば、人格が変わる。

KOMAもSさんも、けして恵まれた養育環境ではありませんでした。
でも過去に囚われず、自分でカケラ変換を繰り返すことで、愛のある両親の元
で養育された人に近づくことはできると思います。

シゾイド(理系男子と呼ばれる種類)パーソナリティは、頑固でガードが硬く、とても
心理的アプローチの難しい存在です。
13年かけて、やっとここまでSさんの心の内を理解することが出来ました。

心が通わない、女性への情熱を感じない、女性の心をおもいやってくれないと
嘆いているたくさんの女性のためにも、さらなるシゾイドパーソナリティを生む
原因追及と、パーソナリティ変更への手がかりを探したいと思います。

ただ、できるならシゾイドとは結婚しない方がいいです。
本当に苦しいですから。
友達くらいの距離感が丁度良い。