人を想う本質

宮部みゆきさんの「LEVEL7」を昨日ドラマで見ました。
その中で何点か気になった台詞から、思考を深めていこうと思います。

まず登場人物

玉木宏さん・・・主人公1、記憶喪失、杏ちゃんの恋人
杏さん・・・主人公2、記憶喪失、玉木さんの恋人

記憶を失った二人がマンションの一室で目を覚ますと、5000万円の現金と
血の付いたタオル、拳銃の入った紙袋があった。
互いに自分が誰なのか、ここはどこなのか、相手が誰なのか分からない。
テレビには、老女殺し、タンス預金5000万円奪われるのニュースが・・・。
犯人は自分なのか、相手なのか、二人でやったのか、混乱する二人。
そこへ警察がチャイムを鳴らす。
慌てて二人は紙袋を持って部屋を脱出。とりあえず旅館に身を隠すが、相手が
信じられない。

こういう心理状況で、相手のちょっとした行動が不安を呼び、拳銃という武器で
身を守ろうとする。
杏さんが玉木さんに拳銃を向けるシーン
杏:「来ないで・・・」
玉木:「君に拳銃など使わせたくない。人殺しになんかしたくない。」

この玉木さんの台詞はどのような視点に立っているかというと
自分を守るためではなく、杏さんの未来と二人の今を守るため。

別のシーンでは
杏:「私はいいわ、一人で行って」(杏さんの眼が見えなくなったので)
玉木:「一人より二人の方が心強い」

玉木さんのこの台詞は、自分のため、杏さんのため、二人のための言葉。

他にも自分のためだけではない台詞や態度があって、それにより二人は信頼を
築いていく。最終的に二人は恋人同士だったことを思い出し、互いに納得する。

ドラマだからではなく、お互いに惹かれるときは、少なからずこのような言葉を
無意識に出し合っているのだ。
その無意識でありながら、自分をおもいやってくれるいじらしさに、相手は強く
引きつけられるのだと思う。

恋人や結婚相手とつながっていくためには、”愛”は欠かせない。
その”愛”の正体は、この視点そのものではないだろうか?
誰かを引きつけることの出来ない人は、自分のためという視点から抜けていない。
相手の心を打つということができない。

ドラマの最後に、事件の全貌が明らかになって、穏やかさを取り戻したとき、
玉木さんが杏さんに「結婚してください」と言う。
その時の杏さんの返しもまた注目だ。
「同じ人をまた好きになれるなんて」

両親を殺害された傷を背負い、失ったものは果てしなく大きい。
それでも、離れることなく二人でいられた事実、元から二人が愛し合っていた
事実を大切に思い、今プロポーズされたことと合わせて、良い点を見ていこうと
いう姿勢に見習う所は多くある。

ドラマ一つでいろんなことを感じ取れる。
主人公の視点に気を留めながら、ドラマを見ると、また別の楽しみが見つけられる。