ある女性相談室で・・・独り言

もう何年前になるだろう?
市の女性相談室に通っていた頃の話。

そこは一人50分相談に乗ってくれる。

約束時間の10分前に来て、外の椅子に座って待ってる決まりになっている。
相談室は密室で外からは見えない。
ただ待っていると、先の相談者の話が漏れ聞こえてくる。

どうも主婦らしい。
一生懸命家庭のことをやっているのに、家族の誰一人労ってくれず、次々起こる問題を母一人で解決しているとのこと。
いわゆる父親が長時間労働で不在ってやつだ。
周りの主婦も同じだからと、周囲に愚痴をこぼすことさえ出来ず、胸に溜めた思いを相談員さんに聞いてもらっていた。
ときどき聞こえる嗚咽。
一人で必死に戦ってきて、誰かに「よくやっているね」とずっと言って欲しかったんだろう。
相談員さんも女性なので、その苦しみはよく分かるらしく、共感していた。

そうだよなぁ~、主婦ってなにかで査定されることもないし、金銭対価を受け取ることもない。
ただ黙々と働くことを強要される存在。辛いよなぁ。
心も縮むよなぁ。
お金ももらえなきゃ、自分にご褒美♪さえできないし。

-無くして初めて知る有り難み-という言葉がある。
どんな些細なことでも、生活になじんでいることでも、そこには人の労力や気持ちが入っており、それを当たり前と取ることは不遜なのだとつくづく感じた。

私は母に感謝できているのだろうか?
私も毒親でなければ、今頃親孝行出来たのに・・・などと寂しく思うのでした。