アドバイスをしてはいけない

Sにいらぬアドバイスを受けた。
論理的に考えれば、Sの言い分は当然といえよう。
ただ、心がついていかないとかそもそもの前提条件が間違えている場合、いくら論理的なアドバイスであっても、無用の長物のように感じる。

自己啓発本はいつも的を射た答えを見せてくれる。

しかし、その本を丸呑みにして実行する人はごくわずかである。
巻末に「やらなければ、変わらない」と書いてあるものの、やるまでの気力のもっていきかたはどこにも書いてない。

人は一人一人状態が違って、たとえばパンを食べるのにも困っている人に勉強の尊さを説いても意味がない。すなわちやろうとするスタートに立てない状態の人がいくらいいことを書いてある本にであったとしても、ガス欠の車が走り出せないように、無理なのである。

ならば周囲ができるたった一つのことは、その悩みの寄り添うことである。
余力があれば、質問形式で本人がハマっている穴を気づかせてやるといい。
ただ最初から正答をいうのは、押し付けになってしまうので、控えるのが賢明だ。

最近思うことに、人はいつでも自分の弱さを露呈しながら生きているのだ、というのがある。
アドバイスをするというのは、自分の考えが正しいと凝り固まった弱さと、相手の言い分に耳を傾けるより自分の言い分を押し付けてしまう精神的弱さゆえの行為である。
本当に強い人は、相手の人の考えることを優先し、己は一歩引く強さを持っている。

言動ひとつにその人となりのものが反映されている。