一緒に居ればいるほど、配偶者Sに感じることがある。
それは、「惹かれない」ということ。
よく少女漫画のヒーローとして描かれる人物像は、自分の意見をしっかりと持ち、それを態度に表す。
反対に、特にキャラクターのないその他大勢は、ヒロインやヒーローに影響されるばかり。
人間は、他人と居る時に、他人という人がその空間に居ることよりも、他人が自分にどういった影響を与えるかの方を強く認識する。
もちろん、その影響には、美醜による心理的高揚も含まれる。
ただし、一般的な人は美醜によって他人に与える影響は微々たるものなので、それ以外のところで、どんな影響を及ぼすのかが焦点となる。
そこで、Sの話。
Sはずっと突っ立っている。
何を話しかけるわけでも、どんな効果的な態度に出るでもない。
ただ、居る。それだけ。
益でもなけりゃ、害でもない。
最初からそんな印象の人。
Sに限らずほとんどの人は、受身で、それでいて人生が良い方向に変わらないかと密かに期待している。
残念だが、待っていても人生はイイ方向に変わるとは確約できない。
まかりまちがって、宝くじには当たるかもしれないが、だからといって豊かな人生になるとも限らない。
運命を変えるためには、何かをすることだ。
そしてその何かはおおざっぱではいけない。
おおざっぱは、終結せず、何もしないのと同じ結果を生む。
おおざっぱを避けるためには、周りをよく観察し、特に相手の心をしっかりと見ること。途中で投げ出さない忍耐力が必要だ。
いつまでも運命は他人によって変わるんだと信じて、口をあんぐり開けて待っているようでは、人生の終わりにむなしさを感じる。
そんな生き方をしている人は、外から見てエネルギーレベルが低く、近づいたらこちらまで凍えそうになる。
魅力は「熱」だ。
古来より熱のあるところに、人は惹(引)かれる。