コミュニケーションの基本。「まず、受け取る」

相手から質問や相談を受けたとき、まず最初に頭に何が浮かびますか?
"何を答えよう?"
それとも
"(相手は)何を考えているのだろう?"
はたまた
"面倒くさいなぁ"や"かわいそう"などの感想でしょうか。

この最初に浮かぶことが、自分の考え方のパターンを表します。

このパターンは、自分がどのような世界にいたかで、決まります。
結果を求められる世界に身を置いた人は、答えを出そうと走り出し、
理由や背景を問われる世界に身を置いた人は、まず状況を受け止めようとし、
責められたり、褒められたりという世界に身を置いた人は、感情に取り付かれます。

どれが正解ということはないのですが、答えを出そうと走ったり、感情に取り付かれている人は、客観性を欠いた印象を与えてしまい、社会的な成功をしづらいです。
例えば、営業マンを考えてみて下さい。
あなたが顧客としてクレームを入れると、いきなり答えを出そうと走りだしたり、感情論に振り回されて有効な手立てを講じない営業マンに、信頼を寄せることはできるでしょうか?
信頼とは、"こちらの話を聞いてくれる、手段を講じてくれる"と思わせてくれる人に対して抱くものです。

人と人を結びつけるものは、-信頼-です。
信頼を得るためには、まず相手をよく見ることです。
この見るという行為、カウンセリングで重視される聴くという行為と全く同じです。
相手を阻害しない。そのまま受け取る。

ただし、受け取って、仕舞ってはなりません。
記憶の棚の奥に即仕舞ってしまうと、相手に"見たよ!"、"聴いたよ"という信号が届かないからです。
できるだけ、受け取ったよメッセージを返しましょう。「なるほど~」「それは気になりますね~」「大変でしたね」など、短いメッセージで構いません。返すことで相手は小さく安心できるのです。

「質問に答える」や、「相談事の解決を図る」は、その後でも十分間に合います。
私は親がせっかちで、即答えを求めるタイプだったので、"(相手は)何を考えているのだろう?"と立ち止まるクセが出来ていませんでした。
結果として、私に期待を寄せて相談してきた人に"聴いたよ"というメッセージを出すことが出来ず、ずいぶん落胆させてしまったのだと思います。

正直、その道の専門家でもない限り、解決方法について、具体的に答えられることなんてないでしょう。
むしろ、相談してきている本人の中にある答えを一緒に導き出して、解決を促した方が納得のいく解が得られる可能性が高いです。

我々凡人が出来るのは、相手の話をまず受け取る。
それでさえもできない人が多いからこそ、こういう基本的なことに価値が出てくるのだと思います。