「分かっていますよ」と伝えることの大切さ

誰かが何かを言ってくるとき、そこには目的がある。
その目的は、心配を払拭したい だったり、信じてよいか見極めたい だったり。

しかしそういうことは表にださず、「~はどうなってるの?」と訊いてくる。

あなたはそれになんと答えているだろうか?

もし「~はこうなっています」と正直に答えると、不思議なことだが「こいつ、分かってないな」とされる。
代わりに目的に沿った第一声を心がけると、めちゃめちゃいい印象を持たれる。

たとえば上司から「○○の件、どれだけ進んでるんだ?」と尋ねられるたときを考えてみる。
訊かれたことに正直に答えようとして、「△さんから□という連絡が来て、それに×と答えましたら、次は☆にしましょうという話に変わりまして…」と言うと、渋い顔をされる。
上司の目的は「○○の件が心配だから、ちゃんと把握しておきたい」なので、それを念頭に置いて「現在、予定の60%は済んでおり、来週月曜日には結果をご報告できます。」と答える。
すると、上司の中に「こいつ、分かってるじゃないか。」という気持ちが生まれ、安心につながる。

一旦、安心な状態に入ると、言葉が受け入れられやすくなる。
そこで続けて「先日△さんから□という連絡がきました。それには×と答え、それなら☆にしましょうとご提案を受けたので、その方向で調整しております。」という。すると、「うむ、分かった。頼む。」となって、一件落着、と相成る。

このように第一声が相手の目的に合致すると、話が通りやすくなる。それくらい「分かってますよという返し」は外せない。

だから「相手の頭の中を想像」→「相手の目的に沿った答えの用意&発言」→「自分が言いたいこと」という順を守る。けして話を整える段階の「相手の頭の中を想像」と「相手の目的に沿った答えの用意&発言」を省かない。
もし省いてしまったら、最後の「自分の言いたいこと」がどれだけ的を射てても、ほとんど相手にされないだろう。

良いことを言ってるのに全然言い分が通らないと憤りを感じている人は、今まで相手が馬鹿だからと思っていたと思う。でも、そうじゃない。自分が準備を怠っていることが問題だったのだ。

どんな人も「自分が受け入れられているのか」不安である。きちんと準備をしてまずは相手のその不安を取り去り、「分かってるじゃないか」と安心させよう。すべてはそこからだ。

それほどに、人というのは感情に支配されている生き物なのだから。