恐怖からおもわずしてしまった行動

なにやら題は、大げさなことを言っているように見えるが、実は大したことのない話。

小学校の時、広島の田舎に住んでいて、スーパーマーケットが近くになかった。
夕方、親が料理をしているとバターがないということに気がついた。
そこで私に近所の食料雑貨店に買いに行ってこいという。

雑貨店のおばちゃんに「バターください」といったら、あまり需要がないらしく

かなり古めいた感じの半溶けのバターをもってきて、「これしかないのよ」と
いった。
正常な判断ができる子供なら、諦めて帰るハズ。
ところが、バターを買ってこないといけないという考えにとりつかれていた私は
「それでもいいから頂戴」といって、買って帰った。

当然の如く母親は「このバターは使えない」といい、返金してもらいにいった。

なんてことはないただの出来事なのだけど、私は親にバターを買ってこないと
怒られてしまうという恐怖で正常判断できなかった自分をずいぶんと悔いた。
数十年たってから覚えているって事は、相当感情が揺れた証拠。

扶養してもらっている間、親は神。
いうことを聞かないと、捨てられてしまう。
だから、すっごい嫌なことがあっても「うん」と答えなきゃならない。

子供はいつも親の味方。(でも親は子供を守ってはくれない)
子供はいつも親のYESマン。
ずっと親の面倒を見てきた。
本当に疲れた、死んでしまいたいくらい疲れた。

だからたかがバターであっても気を抜くことができなかった。
ちょっと何かが上手くできなかったら、ネチネチいびられる。
反対にちょっと何かできても、褒めてはくれない。
常に心は緊張状態。間違ったことをしていないか、怒られることをしていないか
いつもビクビク。

振り返ってみると地獄の子供時代だったと思う。