邪魔者扱い

ある会社で、仕事ができる他者に厳しい人がいた。
他者が自分の期待するレベルに達しないと、すぐに声を荒げて「なんで出来ないの?」
と怒鳴る。
そのせいで、何人もの人が職場を去った。

そういう厳しいさんを会社は邪魔者扱いする。

「確かに仕事は出来るけどねぇ~、指導が出来ないし・・・」
「上の人にまで口答えして、何様のつもり!?」

確かに厳しいさんがいるだけで周囲が迷惑する。
会社も害をこうむる。
いいことなんて一つもない。
厳しいさんさえ去ってくれれば、問題は解決する。

でも、そうも簡単にいかないのが、日本の雇用社会。

では、どうするか?
厳しいさんが厳しくしてしまう原因を厳しいさん自身に考えてもらう。
本人は、「出来ないんだから、注意してあたりまえでしょ?」と考えているだろうが
そもそも人間は不出来である。
初心者であれば、業務経験不足者であれば、当然出来ない。
それなのになぜ他者に完璧を求めるのか?
その人は、赤ちゃんに「お乳をうまく吸えないなんて、なっとらん」と怒るのか?

人の失敗を認めて、受容できないのは、自分の失敗を認められないからだ。
おそらく厳しいさんは、自分が失敗したとき、己を執拗に責める。
自分は自分に責められるのに、他者は失敗しても責められないとなれば
不公平感をもつ。
だから、他者も自分と同様に責めることで、平等と感じられ、心が落ち着く。

ということは、厳しいさんが、失敗しても自分を責めないクセをつければ、人の
失敗に寛容になれるのである。

こういうメカニズムを知らない周囲は、ひたすら厳しいさんを疎ましい目で見、
避けようとする。
厳しいさんは、自分に責められ、会社の人に疎外され、やり場を失う。
・・・で、どんなハッピーが待っているのでしょうか?

大事なことは、この場に問題があって、その問題の原因は”そこ”で起こってる
のではなく、関係者の”心”で起こっているのです。
冷静に分析し、必要な場合は第三者の力を借り、厳しいさんおよび周囲の環境
を変える手立てを講じましょう。
社員一人救えない会社は、他の社員も幸せになんてできませんよ。