いつまでも過去の栄光を追い求める女性

ある女性が20代の頃、旧帝大院卒、大手自動車メーカー勤務、努力家で見た目のかっこいい男性Sとつきあっていた。
正確には、たまにふらっとその女性の家に帰ってくるといった状態。
Sとはかれこれ干支1周分くらいつきあっている。

ところが待てど暮らせど、結婚の話は出てこない。

そこへきて、Sが超過労働により身体を壊し、休職することになった。

当然女性は自分のところに来るだろうと思いきや、Sはキャバクラで会った女性のところへ転がり込んだ。
・・・私の12年って?

その女性は、「彼の一時の気の迷いよ。今度話をしてみるわ」といってた。
実際Sと話をしてみると、「君といるのは疲れた。いま一緒にいる娘の方が安らぐ」と言われた。

そういわれて尚、その女性はSをあきらめきれない様子。
というのも、彼ほどすべての条件がそろっている男性はいないからだ。
そうこうしている内に、彼女は40歳に近づきつつある。

最近は、職場で出会った金持ちの人と不倫している。
妻という立場は得られないけど、一流ホテルに泊まって、美味しいものを食べられて、なによりSのことを忘れていられる。

ただ私から見ると、その生き方は刹那的だ。
彼女は容姿がかわいらしく、几帳面で、Sにこだわらなければいくらでも相手はいたろうにと思う。
現に彼女に告白をしてきた男性は数多くいた。
だが、彼女はSと同等を求め、それらの男性は相手にしなかった。
あげく、不倫。

人は一度手にした栄光を忘れられず、栄光を手放す勇気、栄光を下回る現実を受け入れる勇気を持てずにいる。
気持ちはわかるが、一時のラッキーは、一時に限られる。
堅実に足下を見たとき、Sと同等を求めることは、得策ではない。

彼女は、美味しい蜜を知った女性が陥りがちな罠にきれいにはまっている。
そこから脱出するには、一度自分を客観的に見つめる必要があろう。
いつ、その必要性に気づくのであろうか。