現在放送中の「砂の塔」。タワーマンションの階数によるヒエラルキー、いじめを描いている。
週刊誌の現代ビジネスによると地方出身者が成功の証として、タワーマンションの上層階に住むらしい。
上層階の人は、そこそこの優越感に浸り、中層階や低層階の人を蔑む。
この意識が生まれる背景を考えたとき、スタンフォード大学のとある心理学実験を思い出した。
権力の差が生み出すもの
「スタンフォード監獄実験」
1971年の夏に6日だけ行われた実験。
心理学者ジンバルドー指導の下、刑務所を舞台にして、普通の人が特殊な肩書きや地位を与えられると、その役割に合わせて行動してしまうことを証明しようとした実験だ。
結果として、看守役は自主的に囚人役に罰を与え始めた。
そして最終的に暴力を振るようになった。
実験の結果、強い権力を与えられた人間と力を持たない人間が、狭い空間に常に一緒に居ると、次第に理性の歯止めが利かなくなり、暴走してしまうことが分かった(引用 Wikipedia)。
さすがに看守と囚人というほど差がないとはいえ、購入出来るマンションの階数の差は、社会的に成功した者と普通の者という違いではある。ゆえに、権力に差があると捉えられてもおかしくはないだろう
タワーマンションに限らず、湊かなえ氏の小説「夜行観覧車」のように土地の広さ、学校が私立か公立か、高級スーパーで買うか激安店で買うか、車は国産か外国産か、など、感じようと思えば差はいくらでもある。
従って、なにかの指標を絶対視すれば、そこに暴走の種は宿る。
表面に見えるものに頼らない生き方
本当に世の中を見通す真理眼のある人は、目に見える権力を見せびらかさない。
世界一有名な投資家のウォーレンバフェット氏は、資産数兆円でも、60年前に購入した1千万円の家に住み、子供達はバスで公立学校に通わせたそう。
やはり、人を見る目、経済を見通す眼差しのある人は、わきまえていらっしゃる。
そういえば最近、みんながうらやむ地位を捨てて、田舎で農業を始める人や、人助けを仕事にしようとする人がちらほら出てきたと聞く。
人生のどこかで、価値転換をして、お金ではないもっと大切な何かに出会ったのだろう。
狭い空間にたくさんの人がいる都会で、人と比べながら生きていたら、自然と皆が価値を見出すものに気を奪われて、競争に巻き込まれるのだろう。
隣の人が何をやっているか目に入らない、くらいの距離感で暮らすのが、健全な心を育むのかもしれない。