噛み合わぬ会話

親が脳梗塞になった。
無事退院して通常の生活に戻ることができた。

だが、一つひっかかることがある。

無限ループ話

親は自分が脳梗塞になったと、お見舞いに来る人、すれ違った知人に次々と話をする。
私が知ってるだけでゆうに20人は超える。

一般的に、20人に同じ話をするのは、かなりの労力だ。
それでも懲りずに、新しい人を捕まえて
「私、脳梗塞やったんですよ~。これこれで身体が不自由でね」
と切り出す。

そうすると決まって相手の返しは、「あら、そうなんですか。実は私の身近な人も脳梗塞になりまして~」となる。

100%この返しでくるので、えっ?脳梗塞って流行ってるの?って思ってしまう。

延々と繰り返されるこの話。
実に発展性がなく、正直飽きないんかね?と思う。

私を受け止めてくれる庇護者

親がなぜここまでしつこく繰り返すか、というと、腑に落ちる答えを得られていないからだ。
この世のどこかに私を庇護してくれる者が居て、その人に出会えるまで何度もアタックする。それが親のやってること。

だが、残念なことに庇護者が表れることはないだろう。

知らぬ間に会話泥棒

誰かが何かを言っていると、つい横から口を挟んで会話をさらっていく人っていないだろうか。

今回のケースはまさにそれ。
親の主張をさらっと聞き流し、同じ症状の人の説明にすり替えていく。

そうやって聞き手としての役割を放棄し、話手に返り咲く行為を20名の人がやっていた。

小さい頃、大人というのは「話の聞ける人」だと思っていたけど、これを見る限り「話を聞ける大人」は皆無のようだ。
中高生が、「大人は話を聞いてくれない」というのも納得がいく。