配偶者の悪口を言う親は、もうそろそろ子どもに「死ね」と言ってるのに気づくべき

世の中にはどれだけ暴言を吐いても、パワーハラスメントとして取り扱われない領域があります。親子関係です。親は子に何を言ってもいいことになっています。躾と称して、ダメ出しを繰り返しても、クズ呼ばわりしても、周りに問題意識すら持ってはもらえません。

子どもも立派な一個人です。親だからと言って、何を言ってもいいことにははりません。その中でも、とくに言ってはいけないことがあります。それは、配偶者への悪口。あそこが悪い、あんなのと結婚するんじゃなかった。○○さんと結婚したかった。それがどれだけ子どもの気持ちをえぐるか。

今日はそのことをお話ししたいと思います。

単なる悪口では済まないわけ

人と人の距離が縮まれば、どうやったって嫌なところは見えてきます。身勝手さ、思いやりのなさ、思い込みの激しさ、保身。縁あって結婚した相手であっても、嫌なところは必ずあります。それゆえ不満を誰かに聞いてもらいたくなる気持ちは、分かります。

ただ、我が子相手に話すのは、死んでもやってはいけません。子どもが生まれてきたこと、この瞬間生きていること、を否定するからです。どんなに頑張っても、子どもが配偶者のDNAを脱ぎ捨てることはできないし、そもそもDNAを選ぶことさえできません。親は結婚相手、出産の有無を決められるのに、子どもはなにも選べない。この圧倒的な不公平さの中で、結果として誕生した子どもに、親が選んだ結論の責任を押しつけるなど、心ある人間の仕業とは思えません。

残念ながら、どんな仕業を受けても幼い身体が血まみれになることもなく、保護の手が差し伸べられることもなく、地獄に終わりはありません。暗い顔で、過剰に周囲の目を気にし、へつらったりゴマすったり自尊心のない子に出来上がってしまいます。親に好かれず育つと、人の好きなり方が分からず、友達らしい友達もできない。それを見た親は、「アンタ、友達もいないの。かわいそうだね。」とマウンティング、ないしは、ご近所に声を掛けまくって、「友達になってやってください」と恥ずかしくなるお願いをして回る。消えてなくなりたくなっちゃいますよね。

配偶者の悪口を我が子に言うと、子どもの人生の針をぐんぐん「死」へと進めてしまいます。あんなに喜んだ我が子の誕生、今や「生きてる価値なし(暗に死ね)」の脅しに転換してるとしたら、こんな矛盾あるでしょうか。

親になるからには感情を出してはいけない

親になるということは、選択した結果に責任を持つということです。責任を持つということは、問題が発生したとき、その解決に誠心誠意向き合うということです。悪口は、誠心誠意向き合うの真反対です。嫌だと思う感情だけを誰かに押しつけ、解決から目を逸らす誤ったやり方。そんな態度をとるヤツ、会社にいたら最低限の接触で済ませるし、友達だったら縁を切ります。でも、親子はそうはいかない。この問題の根深さはそこにあります。

感情は、感情を持った人のものです。感情を持った人が、自分の責任において対処する。正しい向き合い方です。自分以外の他者を頼るときは、解決に向けての助けを求めましょう。家庭内の問題の解決を子どもと話してみるのはいいと思います。柔軟な発想で思わぬアイデアを出してくれるかもしれないですよ。

この世の中で、もっとも気を遣わなければならないのは、一生付き合っていくであろう我が子です。「生まれてきてよかった」と思えるような言葉、「愛されてる」という実感を持てるような言葉をかけていきます。それは、直接子どもに愛しているよと言うこととは違います。配偶者のどこか好き、どこに感謝してるといった、子どもの半身である配偶者への尊重を話すのです。奴隷として、婿・嫁に来たのでもない限り、いい思い出の一つや二つあるだろうし、探せばこの瞬間に見つかるかも知れない。「世間一般の普通」と照らし合わせるのではなく、私だけが感じる配偶者のいいところを口にするとき、子どものなかの「生きてる価値なんてない」が少し和らぎます。

さいごに~子どもだったあなたへ~

この文章を読んで、辛かった気持ちを思い返しているかもしれません。自分を産んだ親に「生きる価値なし」と言われることほど、めった刺しにされることはありません。もしここにこなければ、気持ちに向き合うことなく、なんとなく胸の奥のモヤモヤとしておくに留められたことでしょう。

ただね、辛いものは、辛いんです。どんだけ見ないようにしていても、やっぱり心の中にいるんです。学歴を積んでも、ハイパーな人と結婚しても、整形して完璧な容姿を手に入れても、超絶お金持ちになっても、気持ちが晴れることはありません。あなたのアイデンティティーの根幹に関わる問題だからです。

こうしたらいいよ、という提案は出来ませんが、せめてご自分の胸の内を知って欲しい、あなたがあなたに誠実であって欲しいと願います。悲しかったら泣いてください。悔しかったら、叫んでください。心の整理が付かなかったら、ノートに罵詈雑言を殴り書きにしてください。あなたの辛さをなかったことにしないで。

あなたは心を持った、一人の人間です。