感情のどこを見るか

何度も同じ話をする人がいる。
いつもケンカ腰に対応してくる。
イヤミばかりいってくる。

こんな人、あまり相手にしたくないですね。
でも、ちょっと待って。相手と距離を置くには、早すぎませんか?

確かに感情の出力側に焦点を絞ると、嫌な気分になります。

そこでちょっと視点をずらして、感情の出発点を考えてみましょう。

例えば家庭の事情で、大学に進学できず、会社に入ってから、大卒の人にこき使わ
れて、「おまえって所詮高卒だろう」と虐げられてきた過去のある人がいるとします。
その人の職位が上がって、部下を持つようになったときに、「大卒でそのレベル?」
と部下を攻撃したり、「大学なんてお金の無駄遣い」と何度も同じ事を口にする場合、
どう対処したらいいでしょう。
その人が、横柄な言葉を使ってしまう理由は、〈大学に進学できなかった過去〉と
〈大卒でないことで虐げられてきた過去〉です。

家庭の事情や環境など自分ではどうしようもない過去が、その人の心にやりきれない
想いを作り上げています。
でも本人はまさかそんな昔のことが今の自分の言葉(うらみ)となって、現れている
なんてつゆとも思っていません。単純に大卒のくせにたいした実力のない部下に
腹を立てているくらいに感じています。

けど部下としては、そんな上司つきあいにくいですよね。
そんなとき、部下は上司が攻撃的な言葉を口走ってしまう感情の出発点に目をむける
のです。
どんな想いが上司の態度の原点なのだろうと。
そう想いを巡らせ、ある程度想定できたら、上司のやりきれない想いにちょっとだけ
共感してみる。
お世辞でも「そうですね。大卒だからって頭がいい訳じゃない。××さんのように
実績で登りつめた人が一番堅実ですよね。」と言ってみればいい。
たぶん上司はころっと態度を変えるから。
心の中に渦巻いていたやりきれない想いを部下がわかってくれたという事実に
上司の心は「分かってくれるんだ~」という温かい気持ちで満たされるのだから。

この例で示したように、人の心は想いが報われる・他者に共感されるまで、延々と
同じ失態を繰り返す。
それは本人も不幸だし、周りも迷惑だ。
だからといって、周りが「それはたんなるやっかみですよ」とか「同じ話は聞き飽き
ました」とたかをくくっていては、いつまで経っても問題は解決しないのです。

会社での悩みNo1は人間関係です。
その人間関係から脱却して、もっと自由に仕事をするために、ここは一丁感情の
出所を探ってみてはいかがでしょう。
人間関係が改善しますよ。