心にぐっと来る作品の共通点

湊かなえの小説”告白” と お話”一杯のかけそば”には共通点がある。

告白は母親を求めるあまり卑劣な行為に走った少年が、自分の一番大切な母親を
自らの手で失ってしまうという因果を描いている。

一杯のかけそばはどんな不幸な環境であっても、感謝の心を忘れず懸命に生きれば
自ずと道は開けるという因果を描いている。

人はただ幸せになりたいと思って生きている。
純粋に幸せを求める気持ちが、白と出るか黒と出るかで、対照的な物語のどちらに
転ぶのか決まる。

日本人はアメリカなどに比べてドライ感がない。
どちらかというと、輪廻とか因果とか、切っても切っても切りきれない縁みたいな
つながりをどことなく受け入れている。
だからこのような自分のやったことが自分に返ってくるというストーリーが受け入れ
られる。

カウンセリングの手法は主に海外から輸入されている。
私はそのやり方には納得のいくものの、日本人になじむのかという点において
少なからず疑問がある。
原色の色に囲まれている文化とグラデーションの色に囲まれている文化が”色”
といったところで、果たして同じ概念など持てるのか?と。
色と同じく心も実はちょっと違うんじゃないか。

人に多く読まれるということが、即ち心理描写として自然で的確であることの証明
である。
これらの話をもっと深く掘り下げていけば、人の心を知り、助けるヒントになるかも
しれない。