写真を見て紹介して!と言われることは嬉しいことなのか?

高校生くらいのとき、中学の卒業アルバムを見た男子学生から「この人紹介して!」と指名された同級生(女性)を見て、「いいなぁー、美形はすぐにご指名が入って」と思っていた。
でも今となっては、「そんなにいいことか?」と思う。

 というのも、写真つまり見た目だけで良い悪いを判断され、挙げ句美術品を愛でるかのように美しい物として賞賛されることは、承認されることとは違う と分かったからだ。

思春期は誰もが不安定なアイデンティティを持つ。その不安定さを補うために他者からの承認を求める傾向が強くなる。
本来承認とは「その場にその人がいることがいいことだと認められること」なのに、「誰かの美の琴線に触れたこと」と勘違いすると、後々手痛いしっぺ返しを喰らう。

それは紹介されたときに「写真と実物が違う」からかもしれないし、「写真から想像した人柄と違う」からかも知れない。いずれにしても、紹介を頼んだ人は自分で妄想した相手を求めているのであって、相手そのものを求めたわけではないので、なにかしらん齟齬を含んでいるのは当然なのである。

承認されるということは、実に希有なこととはいえ、思春期の子供にとって人生を左右する大きな要因であることは間違いない。
だとしてたった十数年しか生きていない中で、どうやれば承認されやすいかなど学べるはずもない。

ということは、分かりやすい「見た目」が思春期における承認の強いファクターになるのは、避けて通れない道なのかもしれない。