人に会ったら足を前に出すか後ろに引くか

人に会ったとき、足を前に出しても後ろに引いてもその瞬間を写真で切り取れば、どちらだったか分からない。
でも出すと引くは真逆の行為で、その意味は全然違う。
これはあくまでも比喩であり、実際は心理的にぐっと前に出る人と、すぅっと後ろ引く人がいることの喩え。

前に出る人は「我」が前面に出ている人。後ろに引く人は「受身」な人。

出る人と引く人がいれば、それはバランスが取れており、衝突や停滞は起こらない。
実際は、前面に出る人ばかりとか引く人ばかりで、なんらかの問題が生じる。

一番いい人付きあいの方法は、状況に合わせて出るも引くも臨機応変に変えられること。
ずっと話役も大変だし、ずっと聞き役も大変。
だから場に合わせて自分が話を振り、一同がそれを呼び水に話をし始めたら、すっと引いて、また話が途切れたら自分のネタや相手に話を振って場を盛り上げる人は、話の中心になりやすい。

だけど、大方の人は「状況に合わせる」ために状況を見抜くことをしない。
むしろ、自分がどう話したいか、話したくないかが自分の行動の中心であって、それだけで場を支配しようとする。
場を形成する他の人は、自分を盛り上げるため・楽しませるための要員であって、それ以上の意味はない。
そういう場で盛り上がりの後の閑散とした静けさというのは、どうも心に痛い。

もし誰かと話をして、出ると引くが時々刻々と代わりながらも互いに分かりあえた瞬間、知識を得た瞬間、自分の中の何かが引き上げられた瞬間があれば、その場は自分にとって生涯の宝物になるだろうし、場を去った後も感謝の気持ちや高揚感でいっぱいになるものだ。

大方が出る場だから、自分は引く。そういう反対役を買って出られる人は大成する。
ただぼぉーっと足を出したり引っ込めたりしているのは、もったいない。
是非周りの状況を見て、足の出し引きを自分で決めて欲しい。