芸能人が立て続けに亡くなる理由

三浦春馬さん、芦名星さん、竹内結子さん、が立て続けに命を絶ちました。あちこちから声のかかる人気者で、将来にわたって芸能界を背負っていくことを期待された人々です。

求められ、うらやましがられ、生活基盤も安定している彼らが、率先して生きることを放棄する…。これは一体どういうことなのでしょう?

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人生はヤジロベエ

私達は、当たり前に今日を生き、当たり前に明日を迎えます。意識にのぼることさえない感覚。しかし、これは自分を支える前提が違和感なく身体にマッチしているときにのみ成り立ちます。

なんかオカシイ、なんかダメな気がする、なんかここにいちゃいけないような気がするという「なんか」がムクムクと頭角を現すと、ヤジロベエが左や右に倒れるように、左右どちらかにひっぱられます。ひっぱられて、おっとっと、反対の力で引き戻されれば、危なっかしいけどまたいつもの日常へ戻ります。

でも、ひっぱられなかったら?
逆に倒れそうな方向にぎゅーってひっぱられたら?

パタンと倒れてしまう。ほんのわずかなパワーバランスで、それまでゆらゆら揺れてたものが、ピクリとも動かなくなる。

アイデンティティーは生きるための礎

左右へひっぱる力はなにか?人によって違いますが、主には、自分をどう思っているか、というアイデンティティーが強く影響しています。たとえ絶賛されていても、仕事がじゃんじゃん舞い込んできても、家族や恋人との充実した毎日があっても、私が私をどう思うか、が崩れてしまうと、人は生きる意味を見失ってしまう。

これは外からみただけでは、まったくもって分かりません。俳優さんのように演じるのが得意であれば、なおさら。笑顔を振りまいて、丈夫そうに見せるでしょう。性格は、誠実で、責任感が強く、面倒見がいい。

皮肉ですね。人として優れている方が、己を律して、アイデンティティーが薄まってしまっている。どうしたいのか、より、どうすべきなのかが勝って、私って誰だっけ?ってなる。

人間らしくあろうとすることは、自分の中にある悪魔を肯定することです。仕事なんか辞めてどっか遠くに行きたい、クソ上司をこてんぱんにやっつけたい、きれーな姉ちゃんとデートしたい、たらふく美味しいものを食べてぐーたらしたい、Aちゃんみたいにモテたい。

いいですよ、それでいいんです。

自分の中の声を聞くことが、めっちゃくっちゃ大事です。実際にやるかやらないかは関係なくて、声の存在を肯定する。それが人間らしくあろうとすること、です。

自殺したいあなたに出来ること

今、自殺の相談窓口が開かれています。でも、敢えてそこに電話しなくてもいいと私は思います。一つは、たぶん混雑していて繋がらないから。もう一つは「死にたい」を否定されるから。

自分の中に潜む声をさんざん否定されてきたから、死にたいんです。否定がいやだから、消えてなくなりたいんです。だったら否定のない世界へ行きましょう。

それは、あなたの中に溶け込むこと。

ノートでも、ボイスレコーダーでも、なーんでもいいから、思うがままに声を出し、綴っていく。「あぁ、私はこんなに傷ついてるんだ。自分のこと、これほど分かってあげられてなかったんだ。無理させちゃってたんだ。」って、おもいっきり甘えさせてあげて、自分のために泣いてください。

そしたら、ちょっとだけすっとする。

生きてないとこれが出来ない

野原が焼き払われて、すべてがなくなると、若芽がぴょこんと生えます。なくなったかと思ったのに、まだ生えてくる原動力がそこにはある。なにもないから、新しい息吹の芽生える余白が生まれた。

「なにもないことにする」のが、死にたくなった今、重要です。

理想の自分、期待に応える自分を脱ぎ捨てましょう。あなたはあなたとして、あなたの思うように生きる・そして死ぬ。あなたのアイデンティティーを色濃くするために、あなたの肉体は存在するんです。

生きてる限り肉体は使えます。最後に残された肉体を、自分の声のために使ってあげてください。

そういう言葉をかけられるチャンスを、亡くなった方々に届けられなかったことが、返す返すも残念です。