「人に興味を持つ」以外で信頼関係を築くには?

心理相談を受けていると、「人に興味が無いので、どうコミュニケーションしたらいいかわからないんです!」と言われます。
まるで自分以外の「普通?」の人間は「人に興味がある」かのよう。
本当にそうでしょうか。

言葉のプロ、コピーライターはこう言っています。

「誰もあなたの文章を積極的に読みたいとは思っていない」
伝わる人は「1行」でツカむ (PHP文庫)

人をよく知る、人材教育のコンサルタントはこう言っています。

「人は、他人の話を聞きたいとは思っていない」
「話が長い人」が見落としているたった1つの事実<数学的コミュニケーション入門>深沢真太郎 - 幻冬舎plus

そうです。もともと人は他者には興味がない。あるとすれば、その人が美形だとか、その人と関わるといい思いができるとか、なんらかのメリットがあるときだけ。
誰に対しても興味を持てる方が、変わっています。

とはいっても、興味を持てなければなんて言葉をかけたらいいか分からないですよね。そこで今日は相手に響く「いい言葉の作り方」のコツをご説明したいと思います。

自分に興味を示されたことがなければ…

あなたは誰かに興味を示されたことってありますか?

身近なところだと、血のつながりのある親なんてどうでしょう。
いつもあなたに「どうしたのかな?」と尋ねてくれましたか? それとも、「そんなのこうに決まってるでしょ」と決めつけていましたか?

だいたいの親は子どもの意見など聞きはしません。なんでも知ってるかのごとく振る舞い、答えを決めつけます。子どもが異を唱えようものなら「なんで○○なの?」と批難をする。
それを見て育った子どもは、自分も自分がされたように振る舞います。だから「相手がどうなんだ?」と思うよりも前に、「普通こうでしょ」と切り捨てて考えるようになっている。

当然、「人への興味」なんて持ちません。自分にされたことがなんですもの、人になんてできるわけないです。

「いい言葉」の見つけ方

では、興味を持つという観点から「いい言葉」を見つけるのは難しい。
とすれば、どうやって「いい言葉」を見つけるのか?
ヒントとして先に、自分にとっての「いい言葉」ってなんだろうって考えてみましょう。

たとえば身に覚えがないことで責めを負わされたときを想定してみましょう。内心こう思うんじゃないでしょうか。
”はっ?なにいってんの?なんでオレが責められなきゃなんないわけ。ただの当てつけでしょ”

しかし相手が目上のため、あからさまな反論できません。悔しくてもぐっと口をつぐみます。長い長い説教を喰らい、憤りでいっぱいのまま席へ戻ろうとするあなた。
そのときふらっとやってきた同期がふと口にしました。「とばっちりだよな~。お前は全然関係ないのに。」

それを聞いて、どう思いましたか?

いくぶん憤りが和らいだのではないでしょうか。人によってはホッとしたかもしれない。
じーんとくるほどではないけど、同期の言葉は小さく自分の心を救った。これこそが「いい言葉」です。

この時のポイントは、相手の言葉が「自分の心を救った」にあります。
どんな人も弱い、だから救ってくれる言葉を求めている。そのニーズを満たすことが「いい言葉」の条件です。

どんなときも「いい言葉を作る」ためのコツ

でもいつだって相手を救いたいと思えるわけじゃないですよね。
とくに相手の言い分が身勝手であるほど、”なに勝手なこと言ってんだよ”と突っぱねたくなる。たとえばマウンティング大好きお局とか、高望みが辞められない婚活10年生とか。

そういうときは、相手の心の奥を見つめることです。お局がマウンティングをするのは、「自信がないから」です。高望みが辞められないは、「自分の実力を低く見積もっている」からです。心の奥を見つめてみると、”自分にも少なからずそういったところってあるよな”と共感できるポイントが見つかります。
その共感ポイントを救うかの如く振る舞う。お局なら「○○さんはそんなこと言わなくても素敵だって分かってますよ」と言う。お局同様「自信のない」自分が言われてホッとする言葉を口にしてあげる。
これはおべんちゃらとは違います。相手(擬似的には自分を)を深く包み込む大人な作戦です。

このように相手をホッとさせる援軍として働くと、向こうは勝手に「私に興味を持ってくれた」と勘違いして、信頼を寄せてきます。
これがあなたの望んでいた人間関係ではないでしょうか。

ですから「相手をホッとさせる援軍として働く」ことです。
こんな援軍いたらさぞ心強いだろうな~と想像して、それになりきってみる。これこそが、「人に興味を持つ」よりずっと具体的で考えやすい「いい言葉を作る」ためのコツなのです。