あったら買いますか?お友達ビジネス

お話ビジネスというのが出てきてしばらく経つ。
相談できないこと、聞いてもらいたいことを10分1000円程度で聞いてもらう。

話し相手のいない独身者から、会社でストレスをためている人まで、なんらかの

心の渇望を抱えた人たちが利用している。

現代はなかなか対話の難しい時代だ。ともすれば「気にしすぎじゃない?」と遮断され
たり、「そうだね。ところで私さあ~」と話をすり替えられたり、「ワガママだよ」と否定
されたり。最終的に話そうとした自分がバカだったなあと感じて、また疲れがたまる。
話した相手も話を聴いてもらった経験がないから、自分が聴き手になったときどう振る
舞えばいいのかわからないのだ。(ここでいう「聴く」は「聞く」とは別物)
急に聴いてと言われてもうろたえるので、自分の心地よいポジション(相手の話を
聞かない、自分の話をする)に移ろうとする。

そこで、もしあなたの話を聴いてくれる友達というサービスがあります。
友達は話を聴いてくれるだけではなく、一緒に出かけたり、遊んだりしてくれます。
ただしサービスなので費用は発生します。
という文句の広告があったら、どう思うだろう?

お話ビジネスと違って、実際に会うこともできる。カウンセリングと違って外にでか
けることもできる。
そして、なにより自分には友達がいるという事実を与えてくれる。

たぶんこれだけを言うと、「でもお金を払えなくなったらサービス止まるんでしょ?
だったら、友達じゃないじゃん。」と思う人もいるかも知れない。
けど、思い返してみて欲しい。学生時代仲の良かったあの子に電話で連絡しても
「今忙しいから」とそっけなくされ、たまに都合がついて、お茶しても愚痴ばかり聞か
される。過去は友達でも今は友達とは言い難い関係でしょう。
だったら、お金を出してでも対話ができるほうがずっと有用じゃないかい?

それも友達サービスにオプションが付いていて、「もし利用者が友達サービスを
通して自分の自信を取り戻し、サービスを受ける側の人間から脱却できたら
真のお友達になれますよ」っていう条件だったらどうだろう。
自分がキチンと人のことを考えられる立派な大人になったら、互いに話し合って
これからはサービス抜きで人間同士つきあえるのだ。(まあたぶん本当に自立したら
サービス提供者は友達として不要になるんだが)

無縁社会と言われるように、日本はとても寂しい国になった。
それは「自分が」と自分のことだけを擁護する人達、他者を認識できない人たち
が増えたから。
人と繋がるのは、自分を満たした先に他者を尊重する姿勢があって初めて可能
になる。
けど、今の日本人に自分を愛する力がどれだけ残っているのか。
だったら、ビジネスとして他者に愛される(友達になってくれる)ことを通して、自己を
見つめ直し、自己を愛せるようになるのも一つの手ではないかと思う。

まあこのビジネス、やろうとしたらかなりの自立した心を持ち合わせていることが
条件となるので、そんじょそこらの人には到底できないと思うけど。